40代から新しいスキルを学ぼうと思ったとき、
「今さら新しいことを始めても仕事になる?」
「未経験の分野で、若い人と同じように仕事を取れる?」
「これまでのキャリアとは関係のない仕事を、一から始めることになる?」
こんな不安はありませんか?
筆者も40代から動画制作を学び始めたとき、「新しく身につけた技術を使って仕事をする」ことばかり考えていました。
Premiere ProやAfter Effectsを学び、作品を作り、ポートフォリオを用意する。そして動画制作の案件を獲得する。フリーランスになるなら、自分が新しく身につけた「技術」を売らなければならないと思っていたからです。
ところが、実際に新しい仕事につながったきっかけは少し違いました。
約20年積み重ねてきたアパレルの経験に、新しく身につけた動画制作の知識が加わったことで、動画コンテンツの企画や制作に関わるディレクションの仕事へつながったのです。
この記事では、40代から動画制作を学んだ筆者の経験をもとに、新しいスキルとこれまでのキャリアをどう仕事につなげられるのかを考えます。
40代から動画制作を学び、「動画を作る仕事」を目指していた
筆者はこれまで約20年間、アパレル業界でVMDを中心に、接客やWebコンテンツ制作、スタイリング、企画など、ビジュアルに関わるさまざまな仕事を経験してきました。
その後、40代になってから動画制作を学び始めました。
Premiere ProやAfter Effectsを学び、モーショングラフィックスなどの作品を制作。ポートフォリオを作り、実際の動画制作案件にも挑戦しました。
当時考えていたのは、
- 1動画制作を学ぶ
- 2動画制作の技術を身につける
- 3動画制作案件を獲得する
- 4動画制作者として仕事を増やす
という道です。新しい分野を学んだのだから、その技術そのものを売るのが当然だと思っていました。しかし、この考え方には一つ抜けていたものがありました。
それまで約20年間積み重ねてきた仕事の経験です。
「未経験だからゼロから」という思い込みがあった
動画制作という分野だけを見れば、筆者は未経験です。周りを見れば、自分より動画制作歴が長い人も、After Effectsを使いこなせる人もたくさんいます。そうすると、
「もっと技術を身につけなければ」
「もっと作品を増やさなければ」
「このレベルではまだ仕事にできない」
と、新しく学んだ分野の経験値だけで自分を評価し、自信がなかなか持てずに始められないということが起こります。しかし、「動画制作歴」だけを切り取るって考えてしまうと、それまで仕事で身につけてきた経験がすべて抜け落ちてしまいます。
筆者の場合であれば、
- 商品をどう見せるか考える
- ブランドの世界観を理解する
- ターゲットに合わせてビジュアルを考える
- Webコンテンツを企画する
- 撮影や制作に関わる人と調整する
- 全体を見ながら制作を進める
といった経験は、動画制作を学ぶ前から持っていました。動画制作では初心者でも、20年間の社会人経験から得た知識や技術も十分役に立つということに気づいたことが、仕事の選択肢を考え直すきっかけになりました。
【関連記事|後日公開予定】
「40代のリスキリングは『ゼロから転職』だけじゃない|既存スキルとの掛け合わせ方」
動画制作の「技術」ではなく「知識」が仕事につながった
その後、知人を通じて新しい仕事の話をいただきました。内容は、アパレルブランドの動画コンテンツに関わる仕事です。
ここで重要だったのは、「動画を編集できます」という技術だけで声がかかったわけではないということでした。
これまでアパレル業界で仕事をしてきた経験がある。
商品の見せ方やビジュアルについて考えられる。
企画や制作の経験がある。
そして、新しく動画制作を学んだことで、動画がどのような工程で作られるのか、制作側とどのような話をすればいいのかも以前より理解できる。
それらが組み合わさったことで、これまでとは少し違う仕事につながりました。動画制作を学ぶ前の自分にはなかった選択肢です。
自分で作らなくても、動画制作を学んだ経験は使える
動画制作を学ぶ価値は、「自分で動画を完成させられるようになること」だけではありませんでした。実際にPremiere ProやAfter Effectsを触って制作したことで、
- 動画制作にはどのような工程があるのか
- どんな素材が必要なのか
- どのような表現が可能なのか
- 制作にはどのくらいの作業が必要なのか
- 制作者に何を伝える必要があるのか
といったことも、少しずつ理解できるようになります。これは、自分が編集を担当しない仕事でも役立ちます。
たとえばディレクションでは、完成した動画だけを見て指示を出すのではなく、制作する側が何を必要としているのかを理解したうえでコミュニケーションを取る必要があります。
もちろん、動画を作れることと、ディレクションができることは同じではありません。
しかし、制作工程を実際に経験したことは、制作する人と一緒に仕事をするときの共通言語になります。
動画制作に関わる仕事にはどのような役割があるのかについては、こちらの記事で詳しく紹介します。
【関連記事|後日公開予定】
「動画制作は『編集する人』だけじゃない|仕事の種類と役割」
また、動画制作におけるディレクションの役割については、こちらで詳しく解説します。
【関連記事|後日公開予定】
「動画制作のディレクションとは?制作者との違いと必要なスキル」
40代から学ぶなら「新しいスキル単体」で勝負しなくてもいい
40代から新しいことを学ぶと、どうしてもその分野では初心者になります。10年、20年と経験している人と比べれば、技術だけではかなわないこともあります。
だからこそ、新しいスキルだけを切り離して考えるのではなく、
これまでの経験 × 新しく身につけたスキル
という視点を持つことが大切だと感じています。
たとえば、
アパレル × 動画制作
営業 × 動画制作
人事 × 動画制作
美容 × 動画制作
Web × 動画制作
のように組み合わせると、同じ動画制作スキルでも活かし方が変わります。これは動画制作に限りません。デザイン、SNS、マーケティング、AIなど、新しく学んだことを「これまでとは別の仕事」として考えるのではなく、今までの経験に追加することで仕事の幅が広がることがあります。
新しいスキルは「キャリアを変える」ためだけのものではなかった
筆者は当初、新しいスキルを身につけることを「別の仕事へ移るための準備」のように考えていました。
しかし実際には、新しいスキルを身につけたことで、これまでのキャリアの使い道が増えた。という感覚のほうが近いです。
20年間のキャリアを捨てて動画制作者になったわけでも、動画制作を学んだことが無駄になったわけでもありません。それまでの経験だけでは届かなかった仕事に、新しい知識がつないでくれました。
40代から何かを学ぶとき、「これを仕事にできるだろうか?」と考えることはもちろん大切です。
でも、それと同時に、「これまでやってきたことと組み合わせたら、何ができるだろう?」と考えてみると、別の選択肢が見つかるかもしれません。
これまでのキャリアと新しいスキルを掛け合わせるには?
では、実際に自分の場合は何と何を組み合わせられるのでしょうか。
まずは、
- これまで長く経験してきた仕事
- 得意だったこと
- 周囲から評価されてきたこと
- 業界について知っていること
- 新しく身につけたスキル
- 今後やってみたいこと
を分けて書き出してみると、自分が持っている材料を整理しやすくなります。
「職種」だけで考えないこともポイントです。
たとえば「アパレルVMD」という職歴だけではなく、その中で経験してきた企画、ビジュアル設計、スタイリング、撮影、Webコンテンツ制作、関係者との調整などに分解すると、別の仕事でも使える経験が見えてきます。
これまでのスキルを整理する方法については、こちらの記事でも紹介しています。
【関連記事】
「40代からの『スキルの棚卸しと副業設計』4つの実践ワーク」

また、動画制作を学んだあとに、制作・企画・ディレクションなどどのような仕事へ広げられるのかは、「動画制作を学んだあと、仕事につなげるには?『作る』以外にも広がるキャリアの考え方」の記事でまとめています。
【関連記事】
「動画制作を学んだあと、仕事につなげるには?『作る』以外にも広がるキャリアの考え方」

まとめ|40代の新しい学びは、過去のキャリアを活かす材料にもなる
40代から新しいスキルを学ぶと、その分野では「未経験」になります。しかし、これまで積み重ねてきたキャリアまでゼロになるわけではありません。
新しいことを学ぶときは、「このスキルだけで何の仕事ができるか」だけではなく、「これまでの経験にこのスキルを足したら、何ができるか」という視点でも考えてみてください。
40代からの学びは、これまでのキャリアを捨てるためではなく、これまで持っていたものを別の形で活かすきっかけになることもあります。

